浜通りの農家を巡るツアー・富岡、楢葉、広野町編

2月17日〜18日に首都圏の方と一緒に富岡、楢葉、広野の農家さんを巡るツアーを行いました。

富岡町は昨年4月に一部が避難解除されたばかり。まだ双葉町に隣接するところは帰還困難区域となったままです。帰還率は一桁代でいたるところに空き家が目立ちました。
富岡駅で首都圏からの参加者と合流し、まずは稲作農家の渡邊伸(のぼる)さんのところへ。
10ヘクタールの水田を耕す町内随一の大規模農家さんで、有機栽培の取組もされていたそうです。
昨年は天のつぶを60aを作付けし(慣行栽培)、放射能検査も問題なくパスされたとのこと。
ただご自宅はまだ水回りが壊れたままで避難先のいわきから通われているそうです。
周辺の農地はほぼ綺麗に耕されていましたが、これは国から委託を受けて耕起しているとのこと。ただしその事業も平成30年度までで、その後の農地の利用の目処はたっていないそうです。
水利、イノシシなどの獣害などを考えても大規模稲作の復活は厳しいと感じました。
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その後富岡町内を見学。
民間主導の大規模ソーラーや東京電力の巨大変電所、富岡町のシンボル夜ノ森公園など見て昼食へ。
なお夜ノ森公園は避難解除された所と帰還困難区域のちょうど境目にあり、町のシンボルが分断された形になっています。

昼食は国道6号沿いで、帰還困難区域のすぐ横で営業しているカフェYさん。福島の食材をふんだんに使ったランチを出して頂きました。ここのオーナーさんはいわきでスナックを経営していたあいこさん。富岡でお酒が飲める所が欲しいという声に答えて、こちらで開業したという素敵な方です。
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昼食後は途中、巨大な減容化施設を横目に見つつ、一路楢葉町へ。原発事故で生まれた分断、被災地の負担も、まだまだ終わってない。

楢葉町では震災前柚子による町おこしを行なっていました。その中心メンバーの一人松本広行さんのところへ。楢葉町は2015年9月に避難解除されましたが、帰還率は3割にも満たないそうです。松本さんも避難先から通っているとのこと。立派な自宅前に柚子の木が100本ほどあり、今年はそれを果汁にして、白河の千駒酒造さんに柚子の酒を作ってもらうことに。震災前は会津ほまれで作ってもらっていたそうですから、7年ぶりの復活になります。
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その後今晩の宿となる木戸の交民家へ。築70年の立派な日本家屋をリノベーションした空間。4名の若者がプロデュースしています。ここで福島の海と山の幸をふんだんに使った鍋をメインにした夕食を堪能しました。
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2日目は広野町へ。福一から30キロ圏のため一時的に避難指示が出されたものの、富岡町や楢葉町のように避難区域に指定されなかったため、比較的復興が進んでいます。

まずは二つ沼公園にある農産物直販所へ。
震災前から農家さんが組合を作って運営されていたものの、震災後は会員が40名から10数名に減りながらも、頑張って続けています。震災直後から、数少ない地元産の野菜が手に入ると人気だとか。

その後、この直売所の復活させた中心メンバーで有機農家の新妻良平さんのところへ。
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広野町はもともと山が海岸部に迫り平場の少ない町ですが、山間部に入った高台に新妻さんの農園はあります。
メインはアヒルを除草に使ったお米。このお米でオリジナル日本酒も委託醸造して販売。消費者との交流にも積極的ですが、冷やかしではなく、買って応援してくれる人が欲しいとのこと。
この地域も震災後離農者が増えたそうですが、それは原発のせいではなく、やりたくない人がそれを理由に辞めただけ。年寄りがのさばる古い農家的な体質には批判的でした。
強い意志があるからこそ営農が続けられたのだと思いました。
広野町の新妻さんの所を後にして、大熊町の谷さつきさんを迎えてのミーティング。場所は富岡町の再生の先頭に立つ平山さんが営むホテルひさごやです。

谷さんは震災前は東京にいましたが、避難区域に残された牛🐂を救いたいと浜通りに来て、現在は帰還困難区域のため耕作放棄されている大熊町の農地の再生を牛の放牧で図っています。名付けて「モウモウプロジェクト」。草木に覆われた農地を柵で囲い、牛を放すとみるみるうちに農地が蘇るそうです。
因みにモウとは牛の鳴き声ではなく、英語の草刈りを意味するmowから来ているのだとか。
また再生した農地でコットンやキウイ栽培を計画されています。
強い想いを持って単身乗り込み、今は何人もの支援者、協力者を得て活動されている様子は、私たちにも希望を与えてくれました。
これからもっと牛を増やしていくために、一口牛主さんも募集するそうです。
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この場で参加者と今回のツアーの振り返りを行なったあと、一路いわき市へ。夕方いわき駅で解散となりました。

ツアーに参加してくれた皆さん、ご協力頂いた皆さん、ありがとうございました。

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