山崎記念農業賞表彰式・総会記念フォーラム

2012年7月21日

山崎記念農業賞表彰式・総会記念フォーラム

山崎農業賞2
受賞される渡部よしの副理事長

●日時  2012年7月21日(土)14:00~17:00 
●場所  NTCインターナショナル(株)5F会議室
●役員  渡部よしの 長谷川浩

●表彰の内容
【東京電力福島第1原子力発電所事故は、育んできた土地と生まれ育った社会に多大な被害をもたらしています。
福島県有機農業ネットワークは、農業者、消費者、研究者、団体が協力し、放射能の測定、その分布と動きの解明、農の営みを通しての実証に取り組み、生産者と消費者に安心と希望を与えています。
「健康で安全な農と食の再生」、「持続可能な地域づくり」と「脱原発」の実現に向けた皆さんの先導性と行動力に敬意を表し第36回山崎記念農業賞を贈呈します。】

《福島県有機農業ネットワークへの山崎記念農業賞の贈呈理由》

●贈呈対象
○名称…NPO法人 福島県有機農業ネットワーク
○所在地…福島県二本松市中町376-1
○構成者…農家40名、NGO等職員20名、消費者20名、研究者4名
○活動内容…有機農業者の技術交流/生産者と消費者との交流事業/有機農業
に関する啓蒙、啓発/放射能測定/その他の関連事業

●贈呈理由=農のネットワーク力にもとづいた福島再生
 2011年3月11日、東北関東地方の広い範囲をマグニチュード9.0の巨大地震が
襲った。この東日本大震災から1年以上が経過したが、被災地とりわけ福島県
ではきびしい状況が続いている。その原因はもちろん東京電力福島第一原子力
発電所の事故である。

 原発から放出された大量の放射性物質による大気や水、そして土壌の汚染は、
日本の農業者にとって未知の経験であった。震災後、食品の暫定規制値が政府
から出されたが、この規制値を上回る値が一部の農産物から検出され、出荷規
制措置がとられることとなる。目に見えない、もちろん臭いも味もしない放射
能とのたたかいのはじまりである。

 福島県有機農業ネットワークは2009年、有機農業をめざす福島県内の農家と
地域のネットワークを広げる目的で設立された。それぞれの地域で有機農業運
動が活発になりつつあるなかでの原発事故は関係者に大きな不安と混乱をもた
らした。国が規制という方向でしか方針を出せないなかで、日本有機農業学会
や大学、そして各種団体や企業とのネットワークがいちはやく機能していく。
各種の勉強会を経て、2011年の夏以降、活発化していったのが自らによる放射
能測定の取り組みであった。

 目に見えない放射能の数値化はたいへん大きな意味をもつ。自分がつくった
作物が食べられるのか、食べないほうがよいのかの判断に役立つのはもちろん
のこと、汚染の状況を知ることは、販売を含めた営農のありようを考えるうえ
での重要な指針になるからだ。だが、放射能の測定にあたっては、基本的な知
識の習得や機器の導入からはじまり、機器をどう使いこなすか、測定したデー
タをどのように理解し具体的な対応に結びつけるか、さらには継続的な測定体
制をどうするかなど、さまざまな問題がある。福島県有機農業ネットワークで
は研究者・技術者や各種団体との連携をつうじて、これらの問題に対処し、放
射能の測定をすすめていった。

 原発事故がもたらした最大の問題はさまざまな分断である。放射性物質は環
境を汚染するだけでなく、外部被曝、内部被曝をつうじて健康障害を引き起こ
す危険性がある。健康への不安は、国産のとりわけ福島産の農産物を食べるか
食べないかをめぐっての生産者と消費者の分断、耕作するのかしないのか、地
元で暮らしつづけるのか離れるのかをめぐってのコミュニティ内での分断、避
難生活を強いられるなかで家族皆が共に暮らすのかそれとも仕事を重視して分
かれて暮らすのかをめぐっての家庭内での分断などをもたらした。家庭内では、
老人たちが自分でつくった自給野菜を孫に食べさせてよいのかどうかをめぐっ
ての葛藤などもあったという。

 そうした分断を修復するひとつの鍵が放射能の測定=数値化であり、福島県
有機農業ネットワークもこれを活動の大きな核として位置づけている。各種農
産物の測定によってわかったのは、ほとんどの場合、放射性物質の農産物への
移行は当初予想されていたよりも低いか検出されないということであった。こ
のことは生産者だけでなく、それを食べる消費者に安心と希望を与えることに
なる。ネットワークでは現在、土壌や農業資材の測定、空間放射線の測定マッ
プや土壌汚染マップの作成なども精力的に行なっている。そこには、自分たち
の手で測定することでそのプロセスを共有し、そこから得られた情報を消費者
も含めて共有する、そうすることでともにこの状況を乗り越えていこうという
強い意志が込められている。

 放射能の数値化は、その対策とセットでなくてはならないのは当然であるが、
ネットワークでは、技術検討会や勉強会・技術指導を実施するとともに、販売
面での支援の本格化をめざしている。2012年3月には福島視察・全国集会を主
催し、最近では、「作付け制限区域」ならびに「事前出荷制限区域」に関する
法律上の根拠を示す要望も福島県に対して行なった。特筆しておきたいのは、
心ある研究者たちがかかわるなかでわかってきた「土の力」「耕すことの意
義」である。粘土質と有機質の高い土壌ほど放射性物質が固定され、そのため
農産物への移行が低いことが、また、深く耕すことで放射能の影響を低減させ
る効果があることが確認されている。

 「相手の痛みがわかるネットワークをめざしたい」。これは当ネットワーク
理事である、長谷川浩氏の言葉である。原発事故はさまざまな分断、そして痛
みをもたらした。その修復に福島県有機農業ネットワークが、生産者や消費者、
研究者、流通業者、団体など、さまざまな関係者との連携をつうじて貢献して
きたことを高く評価し第36回山崎記念農業賞に選定する。同時に、ネットワー
クのよりいっそうの活動の進化を、われわれ山崎農業研究所もともにすすめる
ことを確認したい。

(表彰選考委員・田口 均 2012/07/05記)
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